イブニングセッション・シンポジウム

学会企画シンポジウム1
(国際交流学会委員企画)

9月16日(金)14:20~16:20

各国でどのような家族療法のトレーニングを行なっているのか

座長・シンポジスト
森野百合子(成増厚生病院 なります子どものこころケアセンター)
シンポジスト
田村毅(高山村こころの診療所)
大西真美(杏林大学 臨床心理学科)
大森美湖(東京学芸大学保健管理センター)
小笠原知子(金沢大学 国際基幹教育院)
若林英樹(三重大学 総合診療部/亀山地域医療学講座)

 「海外とこれからの日本での家族療法トレーニング:海外のプログラムの魅力、チャンスの見つけ方について余すことなくお伝えします」

 家族療法は欧米やオーストラリア、ニュージーランドで多用されアジア諸国にも広がりつつありますが、その基礎にはしっかりしたトレーニングがあります。本シンポジウムでは英国・米国で家族療法トレーニングを受けた国際交流委員会委員が、それぞれのプログラムの特長や魅力、海外で学ぶチャンスの見つけ方について語るとともに、英国・米国の家族療法指導者より現状と問題点について録画による講演をします。アジアでのトレーニングの現状も報告します。また日本で家族療法トレーニングを受けた委員が指定討論/問題提起を行います。本シンポジウムではさまざまな視点から「家族療法トレーニング」について考え、それに何を望むか、何が必要かを考えます。また「海外で勉強してみたいけど、自信がない」方々の背中をそっと後押ししたいと思います。

オンライン参加可能

学会企画シンポジウム2
(災害支援委員会企画)

9月16日(金)16:30~18:30

災害と家族 -その時家族に何が起こっていたのか-

シンポジスト
小林和(精療クリニック小林)
黒川雅代子(龍谷大学短期大学部)
生島浩(福島大学)
中村志寿佳(山形大学)
指定討論
渡辺俊之(渡辺医院/高崎西口精神療法研修室)
原田由香(札幌保健医療大学)
座長
加藤純(ルーテル学院大学)
上別府圭子(国際医療福祉大学大学院)

 「阪神淡路大震災、東日本大震災の津波被害、そして原発被害、という3つの大震災の支援に関わってこられた3人のシンポジストに、本音で語っていただきます」

 小林和氏は、阪神淡路大震災の被災地にあって、こころの支援活動の中心的役割を担ってこられました。黒川雅代子氏は、『あいまいな喪失』をPauline Boss 博士から学び、そのワークショップの開催に尽力してこられました。また生島浩氏は、地元大学に「子どものメンタルヘルス支援事業」を立ち上げ、地域生活者としてシステムズ・アプローチの展開を図ってこられました。阪神淡路から27年8か月、そして東日本から11年6か月、私たちは何を学んできたのでしょうか?災害の有無にかかわらず未来の人々の安寧のために、私たちはどんな家族支援ができるのか、淡路夢舞台で語り合いましょう。

オンライン参加可能
オンデマンド配信なし

イブニング・セッション

9月16日(金)16:30~18:00

鼎談:私にとっての家族療法とは?

黒沢幸子(目白大学)× 児島達美(KPCL)× 東豊(龍谷大学)
座長:田中究(関内カウンセリングオフィス)

 家族療法のパラダイムは、「家族を治療する」から「家族と治療する」に、さらには「家族が治療する」、あるいは「対話そのものが治療となる」とも言えるような変貌や広がりを見せているといえます。
 また、家族療法の実践は、「治療」なのか「支援」なのかといったそもそも論的な議論もあるでしょう。
 さらには、セラピストとしての立ち位置が専門家としてセラピーを提供するという立場から、パートナーとしてのコンサルテーションや対話のコーディネーターといった多様な表現で表すことも可能であるといえるでしょう。
 そうなってくると家族療法という用語は適切なのかそうでないのか。家族に原因を求めないことが専門性であるというある意味での矛盾は、家族療法家としての専門性について何を語るのでしょうか。
 内側から見た家族療法、外側の近いところから見た家族療法、もっと別のところから見た家族療法などをめぐるあんなこんなについて自由に語ってもらいたい、というのがこのセッションの趣旨のつもりですが、ご想像の通りそんなものはないに等しいといえます。
 何が飛び出すやら予測不能、乞うご期待。

大会企画シンポジウム1

9月17日(土)13:00~15:00

一般診療における家族支援

シンポジスト
若林英樹(三重大学医学部)
清水良輔(皮ふ科しみずクリニック)
河田祥吾(亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科)
西健太郎(医療法人光輝会光輝病院)
座長
児島達美(KPCL)

 対人援助において家族を意識することは特別なものではなく、すべての援助者は支援を要する方の背後に家族や関係者の姿を例外なくイメージしていることはいうまでもないでしょう。つまり、家族を支援することを目標としなくても家族関係や周囲の人間関係の文脈において当事者を捉える視点を必ず有しているといえます。
 しかしながら、「家族の捉え方」のスタンダードに家族療法の知見がどの程度の対人援助者の常識となっているのかというと、心もとないのが現状です。場合によっては家族がすべての元凶であるとの見方がいまだに根強く残っている場合も残念ながら散見されます。
 本シンポジウムでは、医療現場における一般診療の中での家族支援に焦点を当てることで、家族療法や家族システムの概念の有用性について再検討することを目的として企画しました。
 シンポジストには、家族療法のトレーニングや学びを日常診療に活かしながら地域医療の研究や実践を行っている一般医や家庭医、皮膚科医、外科医などにご登壇をお願いしました。様々な立場から日常診療における家族療法の知見の活かし方についてフロアを巻き込んだ活発な議論を期待します。さらにそこから生まれる、対人援助に生かされるべき家族療法のミニマムエッセンスを次世代の対人援助専門家に提供する教育プログラムの端緒としたいなどと考えているところです。

オンライン参加可能

学会企画シンポジウム3
(倫理委員会企画)

9月17日(土)13:00~15:00

倫理委員会主催の語り場:家族療法の倫理について様々な問題を出し合い、語り合うラウンドテーブル・ディスカッション

発表者名(五十音順):
阿部幸弘(こころのリカバリー総合支援センター)
大瀧玲子(東京都立大学人文社会学部人間社会学科)
岡本吉生(日本女子大学家政学部児童学科)
藪垣将(藪垣心理療法研究室)

 様々な臨床フィールドで家族支援をしている会員にとって、倫理を守ることは当然だとしても、臨床は生き物である。実際の現場で想定外の出来事が起こってくる可能性も否定はできない。もちろん本学会には倫理綱領もあるが、まずは肩ひじ張らず、倫理に絡んだ色々な迷いをざっくばらんに語れる場を設定しようと考えた。
 近い将来の「倫理裁定システム」の構築に向けて、日々の困り事を倫理委員会の委員が、まずは”俎板の上の鯉”となって共有したい。

大会企画シンポジウム2

9月17日(土)15:10~17:10

さまざまな臨床現場におけるダイアローグ実践

シンポジスト
森川すいめい(みどりの杜クリニック)
矢原隆行(熊本大学大学院人文社会科学研究部)
平栗富美子(Office Becoming)
国重浩一(ダイバーシティカウンセリング)
座長
斉藤環(筑波大学)
植村太郎(神戸労災病院)

 オープンダイアローグへの注目度が高まり、対話への関心が高まっているといえるでしょう。あるいは、対話への関心がオープンダイアローグへの注目につながっているのかもしれません。
 いずれにしろ私たちの社会は、個人の意思の尊重や人権意識の高まりの流れもあり、強制や命令、指示といった圧力を伴う縦関係のコミュニケーションから、より主体性が発揮されることにつながる横関係のコミュニケーションへと変更することが求められているといえるでしょう。
 ただし、ダイアローグにはそのような人権の尊重や倫理的であるといった側面と、言語による現実の再構成によるストーリーの書き換えといった側面があることも多くの関心を集めているところだと思われます。
 今回のシンポジウムには、様々な支援の現場における対話実践についてお話を伺うことで、対人援助におけるダイアローグの意味と役割について学ぶ機会にしたいと考えています。
 シンポジストには、精神医療の現場での実践、少年院でのリフレクティング・プログラムの実践、産業カウンセリングの現場での実践、海外でのカウンセリングオフィスでの実践など多様な現場における対話実践について、活発な対話の重なりを期待しています。

オンライン参加可能

大会企画シンポジウム3

9月17日(土)15:10~17:10

コロナ禍における家族支援

シンポジスト
田中究(兵庫県立ひょうごこころの医療センター)
阿部彩(東京都立大学人文社会学部)
長沼葉月(東京都立大学人文社会学部)
田中究(関内カウンセリングオフィス)
座長
安達映子(立正大学社会福祉学部)

 Covid-19の感染拡大によって、どの現場も、どの家族も、どの当事者も支援者も多大な影響を受けたことと思います。そして受けた影響の数、困難の数だけ、そこには様々な工夫があったのかもしれません。
 コロナ禍でさまざまな現場での支援対象となる家族がどのような影響を受け、どのような問題が生じることになったのかについて、それぞれの現場特有の視点で語っていただきたいと考えています。
 また、そのような困難な状況にどのような工夫で立ち向かったのか、効果のあった工夫はどのようなものだったのか、あるいはその反対はどうだったのかなどについて、様々な視点、立場からの議論を期待したいと考えます。
 シンポジストとしてお願いしているのは、地域精神医療の現場での実践を通した視点、貧困や社会的困難を抱えているとされる方への支援や福祉の現場を通した視点、開業カウンセリングでの支援を通した視点など多様な現場における経験からの学ぶ機会とします。
 コロナ禍での工夫について議論することで、様々な想定外での事態に際して家族療法の理論や実践がどのように役立つ可能性があるのかについて、家族療法内外の立場からの対話を通して次なる非常事態への心構えとしたいと考えます。